ピアノ教室の生徒募集は「教室の理念」から始めましょう
今回は、生徒募集だけではなく、教室経営の礎(いしずえ)となる「教室の理念」について解説していきます。
最初に「教室の理念」を明確にして公表したときのメリットをご紹介します。
- 「教室の理念」が教室の魅力を伝えるセールスポイントになる
- 「教室の理念」があると「理想の生徒」が集まるようになる
- 「教室の理念」があるとレッスンの質が上がる
- 「教室の理念」があると生徒の意識が高くなる
- 「教室の理念」があると無理な要求をしてくる生徒(保護者)の盾になる
教室の理念があると、このように多くのメリットがあるのです。
理念とは?
そもそも理念とは何でしょうか?
辞書にはこのように載っています。
ある物事があるべき最高のすがた。
精選版 日本国語大辞典
その事がどうあるべきかという根本的な考え。
ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。
デジタル大辞泉について
すごく崇高な意味ですね。
これだけだと哲学的で親しみにくいので、身近な例を取り上げましょう。
学校には「教育理念・指導方針」がある
高校や大学の受験校を選ぶ際に、各学校のホームページやパンフレットで「教育理念」「指導方針」というキーワードを見た覚えはないですか?
それぞれの学校の教育理念には「生徒・学生をこういう人に育てたい」という主旨のことが書かれています。
志望校を選ぶ際に、制服のことやクラブ活動などの情報と共にどんな校風なのかを、この教育理念もしくは教育方針のページを読んで、自分に合っているかどうかを検討したのではないでしょうか。
企業には「企業理念・行動指針」がある
同様に、企業には「企業理念」があります。
企業理念とは、その会社が目指す未来の姿や大事にしている考え方、価値観のことです。
会社が社会に対してどのような存在でありたいのか、どのような仕事をしていきたいのか、といったことも表します。
例えば、ある会社は「お客様の笑顔のために」という企業理念を掲げているとすると、これは、その会社がお客様に喜んでもらうことを第一に考えているという意味にもなります。
つまり、企業理念は、会社の社員や取引先、そして社会全体に、その会社の考え方や価値観を伝えるために大切な役割を持っているものになります。
スターバックスコーヒー社の企業理念を紹介しましょう。
OUR MISSION
人々の心を豊かで活力のあるものにするためにー
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティからOUR VALUES
私達は、パートナー、コーヒー、お客様を中心とし、
Valuesを日々体現します。お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような
文化をつくります。勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。
スターバックスと私たちの成長のために。誠実に向き合い、威厳と尊厳をもってこころを通わせる、
その瞬間を大切にします。一人ひとりが全力を尽くし、最後まで結果に責任を持ちます。
私たちは、人間らしさを大切にしながら、成長を続けます。
スターバックスコーヒー ホームページより
スターバックスコーヒーの理念は、お店を訪れるお客様に対してコーヒーという商品の提供という枠に収まらずに、それ以上の価値を提供しようという思いが込められていますね。
このように企業理念は、お客様や社会に対して企業がどのように貢献するか、存在価値があるのかを社内外に共有する役割をします。
これは身内に対しての作用もあり、その企業の社員としてどのように行動していくべきかの指針にもなるのです。これにより、所員全員が同じ方向を向いて、企業が理念で掲げた使命を果たすために行動することで、大きな力を出せるようになるのです。
より身近なところで、大手の音楽教室の理念もご紹介しましょう。
「すべての人がもっている音楽性を育み、自ら音楽をつくり、演奏し、楽しむことの出来る能力を育て、その音楽の歓びを広くわかちあう」これがヤマハ音楽教室の理念です。
ヤマハ音楽教室 ホームページより
カワイ音楽教室の理念は、音楽「を」学ぶのではなく、音楽「で」学ぶこと。
カワイ音楽教室 ホームページより
ただ単に技術を習得することだけではなく、表現することを通して個性を育み、より豊かな人格の形成を目指します。
どのような価値観で教室を運営しようとしているかが感じとれますね。
理念は、その学校や企業が目指す姿や提供する価値、存在意義などの思いを、社内外に表明するものです。
「教室の理念」を明文化するメリット
規模の小さいピアノ教室に「理念」は必要なの?と思われるかもしれません。
ピアノ教室は、「理念」を唱えなくても運営自体はできなくはありません。
しかし、この「理念」を明確にすることには、先程ご紹介したように多くのメリットがあるのです。
理念のメリットについて、もう少し詳しく解説しましょう。
「理念」は教室のセールスポイント
ピアノ教室の「理念」の役割も学校や企業の理念と同じです。
その教室が目指すレッスンの方向性や姿勢、目標、価値観を示すもの。
その教室が生徒をどのように育てたいと考えているのかを示すものです。
もう少しやわらかく表すと、
- どの地域の
- どのような生徒さんに
- どのようなレッスンをして
- 何を習得して欲しいか
- 何を感じて欲しいか
- どのように成長してほしいか
- 教室が生徒さんにとってどんな存在でいたいか
といった先生の思いを言葉にしたものになります。
これは教室の根幹となるものを表しています。
教室そのものと言ってもいいかもしれません。
そしてこの理念は、教室を探している生徒さんを教室へ誘う売り文句でもあります。
教室を探す生徒さんが最も知りたい教室やレッスン内容に関することが、ここに凝縮されているからです。
今回のタイトルを、『生徒募集は「教室の理念」から始めましょう』としたポイントは、この理由からです。
さらに、理念の効用はこれだけではありません。
「理念・指導方針」に共感する「理想の生徒」を集められる
理念をしっかりと作り込むと、そこにはどんな生徒に入会して欲しいかという、先生がイメージする「理想の生徒」への思いが詰まっています。つまり「理想の生徒」が求めること、「理想の生徒」が共感するキャッチコピーになっているのです。
「理想の生徒」については、別の回に詳しく説明をしますが、「理想の生徒」が集まると教室運営がとても効率的・効果的になり、先生も生徒もウィンウィンの関係になれるので、正に理想の状態です。
これは、理念を掲げる大きなメリットのひとつです。
「理念」は教室運営を統一するための軸になる
理念を生徒、保護者に共有すると、教室の方向性や目的を明確に理解してくれるようになるため、より効果的で効率的なレッスン活動・教室運営がやりやすくなります。
例えば
レッスンの方向性を明確にできる
理念に基づいてカリキュラムや指導方針をつくると、レッスン内容が、教室の方向性に合ったものになり、レッスンの質が向上します。
生徒の目標意識を高める
理念が生徒や保護者に共有されていると、レッスンをどのように受ければよいか、それによりどう成長できるのかといったことが意識できるため、自ら成長する意欲や努力を高めやすくなります。
指導方針への理解が得られやすくなる
これは、特にお子さんを対象にしている教室では保護者に対して重要なポイントになります。
理念・指導方針を明確に打ち出すことで教室への理解が得られやすくなります。
逆に教育理念や指導方針に反する要求が保護者から出た場合は、この理念を盾にして理解を求めることができます。
何か無理な要求が来たときには、「このような指導方針でやっているので、そこから外れる指導はできません」ときっぱり断れます。(実際にはこれをソフトに伝えたほうが波風は立ちにくいと思いますが・・・)
教室運営の基本方針から外れることを生徒や保護者から要求されることは、非効率であり、精神的にもストレスになりますから、これを防止する役目をしてくれます。
「教室の理念・指導方針」の作り方
理念・指導方針の作り方を簡単にご紹介します。あくまで一例です。決まった作り方はありません。
まずは、「教室の理念・指導方針」とは何かを再確認しましょう。
- 「教室の理念」とは、先生が生徒に対してこのように成長して欲しいという思いを言葉にしたもの
- 「指導方針」とは、理念に掲げた成長・目標を達成するために行うレッスン内容や指導方法をまとめたもの
「理念」から考えてみましょう
- 生徒さんは、どんな人を対象にしていますか?
- 小さな子どもたちですか?大人の女性ですか?シニアの初心者ですか?
- そのいずれもでしょうか?
- レッスンを受けることでその生徒さんの何が変わりますか?どう成長して欲しいですか?
- 精神的な面や感性の面
- 演奏の技術的な面
- 社会からの評価
このようなテーマで先生の心の中にある思いを言葉としてどんどん書き出してみましょう。
ブレーンストーミングです。
まずは心の制約を外して思いつくものをどんどん紙にでも、スマホのメール作成画面でもいいので、書き出してみましょう。
ある程度書き出せたら、その言葉を改めて吟味してください。
先生自身が本当に実現したいこと、生徒さんにレッスンしてあげたいことに優先順位をつけて絞り込んでいってください。
絞り込めたら、それが「理念」の材料になります。
その素材をベースに、先生の思いを込めた教室のメッセージとして
必要なところは肉付けをして簡潔にまとめてみましょう。
ここで意識するポイントは、生徒さんに伝わる言葉でメッセージにするということです。
特に奇をてらったり、カッコをつける必要はありません。
自分に正直に、先生の生徒さんへの思いが込められているかが大切です。
次に「指導方針」の作成です。
「理念」で書き出した生徒さんの成長や目標を実現するために「レッスンで行うこと」を
理念の時と同様に箇条書きにしていって整理してみてください。
- 何を大切にレッスンをするのか
- どんな技術・能力が身につくレッスンをするのか
- どんな感性を育てるレッスンをするのか
「理念」を実現するために必要なことが過不足なく「指導方針」に書かれているのが理想ですが、あまり難しく考えずに「理念」に沿った内容で先生のやり方が簡潔にわかりやすくまとまっていれば、OKです。
「理念」、「指導方針」も進化していくものですから、都度見直しをしてもよいでしょう。
ただし、教室の根幹・軸を成すものですから、あまり大幅な見直しは既存の生徒さんが混乱することにもなりますので、内容を変更するときは慎重に検討しましょう。
まとめ
「理念」「指導方針」はなくても教室運営はできるけれども
理念があると、大きなメリットがあるということがお分かりいただけましたでしょうか。
大企業も理念を大切にしているのは「経営」に有効であるからですね。
ピアノ教室でも「理念」を明確にすることで、先生と生徒さんとの関係がうまく作ることにつながり、教室経営、そして教室の成長が円滑に促す力になります。
是非「理念」について考えてみてください。
そして、『教室の理念・指導方針』を表明し、「理想の生徒」さんを「理想の姿」に育ててください。
それではまた次のレッスンでお会いしましょう。See you next lesson!!
執筆者プロフィール
KUBO SUSUMU
(GroovyDigital代表)
レコード会社にて、制作ディレクター、マーケティングプランナーを経験し、音楽ビジネスでの実績を積む。
その後、IT企業にて、音楽配信サービスを立ち上げ、有料会員100万人以上を集めるサービスに育てる。音楽部門の事業責任者として多くの音楽・動画配信サービスをマネジメント。
長年の事業経営、オンライン&オフラインのマーケティングの経験をベースに、WEB制作&コンサルティング事業を手掛けるGroovyDigitalを立ち上げ代表に就任。
実家がピアノ教室を営み、妻がピアノ&声楽講師、そして親戚家族も音楽教室を経営するという生活環境で、音楽教室が身近な存在であったため、これまでの経験を活かして音楽教室の役に立ちたいという思いのもと、音楽教室/ピアノ教室専門の集客コンサルティングを行っている。
6ヶ月間で18名の
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